【第4回:ホイール戦略の出口戦略の1つ】持っている株で保険料を貰いながら、目標価格で利確:カバードコールの仕組みを解説

理論

第3回の記事では、「ターゲットバイイング(ターバイ)」について解説しました。

ホイール戦略ではターバイで株を引き受けるパターンは理想から外れたパターンとお話しましたが、もし理想から外れたときにターバイの相棒としてよく紹介されるのが、「カバードコール(以降、カバコと呼びます)」という戦略です。(これらをセットにしてホイール戦略と呼びます)

カバコは、持っている株を担保にして「保険料を貰いながら、目標価格で利確を狙う」という取引になり、ホイール戦略における基本的な出口戦略の一つとなります。

この記事を読めば、ホイール戦略におけるカバコの立ち位置、指値注文との違いやメリット・デメリットが理解できると思います。

カバコってなに?(一般的に語られる話)

カバコは、以前説明したオプションの基本の中の「コールオプションの売り」を応用した戦略です。

こちらも一般的な話を元にシミュレーションでイメージを掴んでみましょう!

前回のターバイによって、とある優良企業(仮)の株を実質「850円」で引き受けたとします。(現在の株価は900円前後とします)

  • 希望:「実質850円で買えたから大満足。もし1,100円まで上がったら、喜んで利益確定して売ろう!」

ここで、持っている株を担保にしてカバコを仕掛けます。
※ここで言う「担保」とは、株を誰かに預けてお金を借りるという意味ではなく、「もし株価が上がったら、自分が持っているこの株を相手に引き渡す約束をする」という意味です。

具体的には、「1か月後に株価が1,100円以上になっていたら、1,100円で売ってあげる約束(権利)」を売り、その対価として「保険料(プレミアム)50円」を最初に受け取ります。

こうすると、ここから満期日までに株価がどう動くかで、未来は次の2つのシナリオに分かれます。

📈 シナリオ①:1か月後に株価が1,100円以上まで上がった場合

約束通り、とある優良企業(仮)の株を1,100円で売却(利益確定)します。

「もっと上がったのに損した!」と思うかもしれませんが、もともと850円で手に入れた株を1,100円で売れます。

しかも、「株の値上がり益( 1,100 – 850 = 250円 )」だけでなく、最初に貰った「保険料50円」もあるので、合計300円の利益になります。

※市場がどれだけ暴騰していても約束した値段で売却となるため、本来もっと高く売れたはずだったということになる可能性がある点には注意が必要です。

📉 シナリオ②:1か月後に株価が1,099円以下だった場合

この場合は、オプションの買い手側が権利を放棄するため、株が売れることはありません。

株は手元に残ったままですが、最初に貰った50円の保険料がそのまま利益になります。株を持ちながら「保険料が貰えた」状態です。

🪙 カバコの仕組みの図解

普通の「指値売り注文」と何が違うの?

「1,100円で利益確定の指値を入れて待つのと、何が違うの?」と思いますよね。

こちらも比較表に整理してみました。

比較ポイント普通の指値売り(1,100円で待つ)カバードコール(1,100円のコール売り)
株価が上がらなかった時1円も儲からない(ただ株を持ってるだけ)株は売れないが、保険料(50円)が手に入る!
株価が上がって売れた時1,100円で売却(利益確定)保険料の分、実質1,150円で売れたのと同じで多く儲かる!
途中で1,110円をつけたが、満期には1,100円以下に戻った場合株価が1,100円に達した時点で約定し、1,100円で売却済み満期時点で1,100円以下であるため権利放棄され、株は売れないが保険料(50円)が手に入る
※途中で権利行使されて株を売却している可能性もある

ホイール戦略におけるカバコの考え方

カバコに関してもターバイと似たような考え方ができるのですが、ターバイで引き受けた株をどう処理するかという出口戦略的な視点も必要なため、投資家的なジレンマが出てきて少し複雑になります。

シナリオ①(株を売却できた場合)

保険の売り手という立場から考えると、この状況は「理想から外れたパターン」になります。

ただし、出口戦略という意味では自分が納得した(あるいは覚悟した)目標価格で株を無事に売却できたことになります。「ターバイで引き受けた株をここで綺麗に手仕舞いしたかった」という目的であれば、ホイール戦略のサイクルとして十分に好ましい着地と言えます。

シナリオ②(株を売れず保険料だけゲットした場合)

保険の売り手という立場から考えると、この状況が目論見通りの「理想パターン」になります。

ただし、出口戦略として「そろそろ株を手放して利確したかった」と考えていた場合は、株が売却されるシナリオ①の方が目的と合致していたというジレンマも生じます。

万能ではない!カバコの5つのデメリット

上の表だけ見るとカバコの方が指値より優れた投資法に見えますが、投資に「絶対」はありません。リスクやデメリットもしっかりと理解しておく必要があります。

⚠️ デメリット①:株価が爆上げしたときに利益が「頭打ち」になる

とある優良企業(仮)に超ド級の好材料が出て、株価が900円から一気に2,000円まで爆上げしたとします。普通に株を持っていれば大儲けでしたが、「1,100円で売る約束」をしてしまっているので、どんなに株価が上がっても1,100円で売らなければなりません。

※「1,100円で売る約束」を買い戻しすること可能ではありますが、株価が2,000円まで跳ね上がっている場合、「1,100円で売る約束」のオプション価値も暴騰しているため、買い戻すのに特大コストがかかります。

⚠️ デメリット②:株価が大暴落したときは現物株の含み損を抱える

もし株価が900円から500円まで大暴落したとします。

保険を売った際に貰える50円はあるものの、手元にある株本体がそれ以上に大きく値下がり(-400円)しているため、トータルでは大きな含み損を抱えることになります。

このように株価が急落した場合は基本的に大きなダメージを受けます。

⚠️ デメリット③:指値注文に比べると安易に買い値の変更がしづらい

上の例で言うと、指値注文の場合は株価が1,090円くらいになったときに、「もっと上がりそうだから1,200円で指値を入れなおそう」としても何もデメリットはありません。

しかしカバコの場合は、株価が1,090円になった際に「1,200円で売る約束」に切り替えたい場合は、「1,100円で売る約束」をその時の時価で買い戻して決済し、「1,200円で売る約束」を新たに売り直す必要があります。
※条件次第になりますが、この買い戻し・売り直しの際に追加のコストや想定外の精算額が発生する場合があります。そのため、指値注文ほど安易な価格変更がしづらいというデメリットがあります。

⚠️ デメリット④:取引期間中に株を担保とする必要があるため、機会損失が発生する可能性がある

欲しい株があるが現金がない場合に、今持っている株を売却して現金を作るという方法があります。

しかしカバコは約束の価格を上回ったときに株を売る必要があるため、約束の際に証券口座に「株」を担保として入れておく必要があり、その株は売却して現金化できません。

これによって、カバコ期間中は現金不足により機会損失が発生する可能性があります。

※こちらも途中で約束の「買い戻し」すれば担保とした株は解放されますが、その時点の時価(利益確定・損切りのいずれの可能性もあり)で約束を決済することになります。

⚠️ デメリット⑤:オプション収益は自分で確定申告が必要になる

オプション取引の利益は、一般的に普段の株取引のような「特定口座」の対象にならないため、基本的には自分で確定申告をする必要があります。(一部例外あり)

ここが少し手間の掛かるポイントです。

※証券会社の口座種別や損益通算のルールによっては確定申告が不要な場合や、申告分離課税の対象となる場合もあります。
※実際の税務処理については、必ず管轄の税務署や税理士にご確認ください。

🎯 ホイール戦略におけるカバコとは?

ホイール戦略において、カバコはあくまでターバイで引き受けた株をどう処理するかという出口戦略の一つと考えられます。

上記の特徴を踏まえると、私が考えるカバコに向いている銘柄は以下のような特徴を持つものです。

  1. 「ここから短期で2倍・3倍に急騰するような爆発力はないけれど、安定している銘柄」
  2. 「万が一暴落しても、配当を貰いながらじっくり長期保有できる優良株・高配当株」

急騰や急落のリスクが比較的穏やかな銘柄ほど、カバコは組み立てやすくなります。また、無理に欲張って遠くの高い価格を狙うよりは、自分が納得した価格でカバコを行い、いいタイミングで正しく損益を確定するのがコツだと私は考えています。

また、あくまで出口戦略の1つでしかないので、株価が下落局面に入った場合は、持っている株でカバコし続けるのではなく、指値で損切りすることも考えることも非常に大切です。

🏁 【次回予告】これでついに車輪(ホイール)の全容が明らかに…!

今回はカバコの仕組みについて解説しました。

ホイール戦略としては、保険料を稼ぎながら良いタイミングで利益確定するという、出口戦略的な立ち位置となります。

前回のターバイで保険料を稼ぎ、もし株を引き受けたら、その株を使ってカバコで保険料を稼ぎながら納得したところで損益を確定し、また手元に戻った現金を使って最初のターバイに戻る。

これこそが、「ホイール(車輪)戦略」の全貌です!

次回は、この2つを組み合わせた「ホイール戦略の具体的な回し方と、そのメリット・デメリット」について解説します。いよいよ車輪が回り出します。お楽しみに!

▼ 次回記事はこちら

【第5回:ターバイとカバコを駆使せよ】「ホイール戦略」の仕組みを解説
本記事ではターゲットバイイングとカバードコールを駆使して回していくホイール戦略の仕組みとそのリスクについて解説しています。本記事を読んでホイール戦略について理解しましょう。

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本記事では私が使っているウィブル証券(Webull)のMoneybullという仕組みが、米国株オプションの「ホイール戦略」と親和性が高いと感じたため、その特徴と注意点について解説します。

【ご注意】
当ブログで紹介しているホイール戦略やオプション取引は、高いリスクを伴う金融取引です。利益を保証するものではなく、元本を割り込む、またはそれ以上の損失が発生する可能性があります。取引の際はリスクを十分にご理解の上、自己責任で行ってください。

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