【第5回:ターバイとカバコを駆使せよ】「ホイール戦略」の仕組みを解説

理論

第3回で「ターバイ(ターゲットバイイング)」、第4回で「カバコ(カバードコール)」について詳しく説明してきましたが、これら2つの投資方法をぐるぐると回していくことこそが、今回の本題である「ホイール(車輪)戦略」になります。

今回はいよいよ、このホイール戦略の詳細を解説していきます!

  1. ホイール戦略とは?
  2. ホイールが回る4つのステップ
    1. ステップ1:お目当ての株を「ターバイ」で待つ
    2. ステップ2:株価が下がったら、狙った価格で引き取る
    3. ステップ3:手に入れた株で「カバコ」を行う
      1. ステップ4:株価が上がったら、利確してステップ1へ戻る
    4. ⚙ ホイール戦略の仕組みの図解
  3. ホイール戦略の3つのメリット
    1. ① 株価が「横ばい」や「少しの下落」でも利益を取れる可能性がある
    2. ② 高配当株より高いインカムゲインを狙いやすい
    3. ③「安く買い、高く売る」を感情を挟まず機械的に実行できる
  4. 知っておくべきホイール戦略のデメリットとリスク
    1. ⚠️ デメリット①:暴落時のリスクは現物投資と同じ(重要)
    2. ⚠️ デメリット②:株価暴騰時の値上がり益は「頭打ち」になる
    3. 🚨 最も避けたい「暴落とリバウンドによる往復ビンタ」の罠
    4. ⚠️ デメリット③:長期間、まとまった資金や株が拘束され、機会損失が発生する可能性がある
    5. ⚠️ デメリット④:オプション収益は自分で確定申告が必要
  5. ホイール戦略に向いている銘柄とは?
  6. まとめ:ホイール戦略は魅力的な投資方法になるか?
  7. 🚨 【次回予告】車輪の回し方をマスターせよ!第1〜5回の総まとめ
  8. ホイール戦略を体系的に学びたい・実践したい方へ
    1. 戦略の全体像を知りたい方はこちら
    2. 取引を始めるための準備はこちら

ホイール戦略とは?

ホイール戦略とは、その名の通りホイール(車輪)のように、2つのオプション取引を駆使して、保険料(プレミアム)を稼ぐ戦略です。

シンプルに「ターバイ・カバコ戦略」と呼ばれたりもします。

具体的にどのように車輪が回っていくのか、4つのステップで見てみましょう。

ホイールが回る4つのステップ

ステップ1:お目当ての株を「ターバイ」で待つ

欲しい優良株を、狙った値段でターバイ(プット売り)します。

保険の売り手としては、株を買わずに保険料(プレミアム)だけをゲットするのが目論見通りの「理想パターン」です。

そのため、ホイール戦略では、「ステップ1」をひたすら回して保険料を稼ぎたいというのが基本スタンスになります。

ステップ2:株価が下がったら、狙った価格で引き取る

株価が下がった場合は、約束通りその株を「当初の狙った価格」で購入して引き取ります。

「狙った価格」と言ってはいますが、保険の売り手という立場から考えると、この状況は「理想から外れたパターン」となります。

もちろん運良く底値で株を仕込けたというケースもありますが、落ちるナイフを掴むようにそのままズルズルと下がり続けることも多いイメージです。

一応、株を引き受けること自体は「想定内」の仕組みですが、理想から外れてしまっているので、ここからのリカバリー(出口戦略)が重要になってきます。

ステップ3:手に入れた株で「カバコ」を行う

手に入れた現物株を担保にして、今度はカバコ(コール売り)を仕掛けます。※ここでの担保とは、値上がり時に株を引き渡す約束の代わりという意味です。

株価が上がらなければ、株を手元に残したまま、また保険料分が利益になります。

保険の売り手という立場から考えると、株価が上がらずに株を手元に残したまま保険料分を稼ぐのが理想的に見えますが、ターバイで引き受けた株をどう処理するかという出口戦略のフェーズでもあります。

※ホイール戦略のリアルをお話すると、このステップはターバイで引き受けた株をどう処理するかという出口戦略であるため、単純にカバコし続けるのではなく、状況に応じて指値で損切りすることも非常に大切です。

ステップ4:株価が上がったら、利確してステップ1へ戻る

株価が上がったら、約束の価格で株を売却します。

株の値上がり益 + 保険料」をダブルでゲット!手元に戻ってきた現金を使って、再びステップ1(ターバイ)からスタートします。

※ここも保険の売り手目線で純粋に見ると「理想から外れたパターン」になります。ただし、出口戦略という意味では自分が納得した目標価格で株を無事に売却できたことになり、「ここで利益を確定したかった」という手仕舞いとしては好ましい着地と言えます。

⚙ ホイール戦略の仕組みの図解

※金額は第3回、第4回の記事のものとしています。

  • 売却損益: 200円(売却価格 1,100円 - 購入価格 900円) (株の値上がり益)
  • 保険料収益: 100円(50円 + 50) (待機中にもらえた保険料)
  • トータル利益: 300円

また、もしターバイやカバコで「株価が指定価格に届かず(Noの分岐)」、何度も同じステップを繰り返した場合は、その回数分だけ保険料が追加で増えていくことになります。

※上記は一般的に語られるホイール戦略の理想的のパターンになります。実際の取引では株価の変動の影響でホイールが上手く回せず損切した結果、損失となることも十分にありえます。また実際はターバイやカバコを仕掛けるタイミングも重要な要素です。

ホイール戦略の3つのメリット

普通の現物投資にはない、ホイール戦略ならではの強みは以下の3つです。

① 株価が「横ばい」や「少しの下落」でも利益を取れる可能性がある

現物株だと、株価が上がらない局面では配当くらいしか利益がありません。

しかし、ホイール戦略では取引のたびに保険料(プレミアム)が貰えるため、株価が全く動かない横ばい局面でも利益を取れる可能性があります。

また、少し程度の下落であれば、事前に貰った保険料がクッションとなって下落分をカバーし、トータルでプラスとなる可能性もあり得ます。

② 高配当株より高いインカムゲインを狙いやすい

一般的な高配当株の配当利回りは年利3%~4%程度ですが、ホイール戦略では定期的にオプションによる保険料が入ってくるため、高配当株よりもさらに高い水準のインカムゲイン(現金収入)を狙いやすいという特徴があります。

この保険料がホイール戦略における収入の源泉になります。

③「安く買い、高く売る」を感情を挟まず機械的に実行できる

投資を行う上で最大の敵は、感情に振り回されて行う「狼狽売り」や「高値掴み」です。

ホイール戦略のルールは非常に単純で、最初に「いくらで買って、いくらで売るか」をあらかじめ設定してしまえば、あとは淡々とその計画に従って取引を継続するだけです。感情を排除し、投資の基本である「安く買い、高く売る」のサイクルを淡々と回せる点がこの戦略の大きな強みと言えます。

※ただし、この機械的な運用を機能させるには「暴落時に狼狽せず引き受けられる銘柄選び」が大前提となります。また、相場が想定以上の下落トレンドに入った場合は、ポジションを塩漬けにするのではなく、指値を使って適切に損切り(撤退)する判断も必要になります。

知っておくべきホイール戦略のデメリットとリスク

光があるところには必ず影があります。この戦略を安全に回すために、知っておくべき現実もしっかりとお伝えします。

⚠️ デメリット①:暴落時のリスクは現物投資と同じ(重要)

ターバイを使うことで、一般論で語られるように普通の指値注文よりは確かに割安で株を購入できます。しかし、銘柄そのものが大暴落した場合には、現物株を高い価格で引き取らざるを得ないため、大きな含み損を抱えるリスクは消えていません。

そのため、業績が安定しているディフェンシブ銘柄や、万が一暴落して塩漬けになっても配当を貰いながら耐えられる高配当銘柄などのように、現物株を引き受けた際に出口戦略をイメージできる銘柄を選ぶことが、ホイール戦略のセオリーだと私は考えています。

また、上でも述べている通り、株価が長期で低迷する局面では、カバコに頼らずに指値で損切りすることも考えることも出口戦略として大切になります。

⚠️ デメリット②:株価暴騰時の値上がり益は「頭打ち」になる

カバコを仕掛けているため、株価がどれだけ急上昇しても、自分が設定した以上の値上がり益は放棄することになります。

「横ばいでも利益が出る」というメリットの裏には、株価の上昇局面では通常よりも利益が制限されるデメリットがあることは、あらかじめ想定しておく必要があります。

ただし、これについても上で述べている通り、あらかじめ自分が納得した値段(目標価格)で株を売却して利益を確定させることも、出口戦略として投資家にとっては大切です。

🚨 最も避けたい「暴落とリバウンドによる往復ビンタ」の罠

上記の2つのリスクが最悪の形で絡み合って起きるのが、この「往復ビンタ」です。

往復ビンタのシナリオ

  1. ターバイ中に株価が暴落し、高い株価で引き取らされて大きな含み損を抱える。
  2. 損失を焦って取り戻そうとして、現物株の価値が下がった状態のまま、「今の安い株価に近い価格」で慌ててカバコを仕掛ける。
  3. その直後に株価が急激にリバウンド(急上昇)し、大赤字の格安価格で株を強制的に売却させられ、損失が確定してしまう。

これが起こると甚大な損失を被るため、暴落時こそパニックにならず、元の取得単価や納得できる株価水準まで戻るのをじっくりと待つマインドセットと、それができる銘柄選びが大切になります。

ただしファンダメンタルズの悪化など、長期的な下落が予想される場合は、損切りを検討することも大切となります。

⚠️ デメリット③:長期間、まとまった資金や株が拘束され、機会損失が発生する可能性がある

ターバイでは約束した価格でいつでも株を買えるよう、口座には常に購入資金を現金(担保)として入れておく必要があり、担保とした現金は他の金融商品への投資や生活費に回すことはできません。

カバコでは約束した価格でいつでも株を売れるように口座には常に株を担保として入れておく必要があり、担保とした株は売却して現金化することができません。

これにより、ターバイやカバコ中は現金不足による機会損失が発生する可能性があります。

※時価でポジションを「買い戻し」すれば資金は解放されますが、その時点の時価での決済(利益確定・損切りのいずれの可能性もあり)となります。

⚠️ デメリット④:オプション収益は自分で確定申告が必要

ターバイとカバコの記事でも触れた通り、オプション取引の利益は、一般的に普段の株取引のような「特定口座」の対象にならないため、基本的には自分で確定申告をする必要があります。(一部例外あり)

ここが少し手間の掛かるポイントです。

※証券会社の口座種別や損益通算のルールによっては確定申告が不要な場合や、申告分離課税の対象となる場合もあります。
※実際の税務処理については、必ず管轄の税務署や税理士にご確認ください。

ホイール戦略に向いている銘柄とは?

私が考えるホイール戦略に向いている銘柄は、「暴落リスクが低く、最悪、暴落して引き受けても困らない(塩漬けになってもいい)と思える優良株」です。

こういった銘柄で保険料による収益の源泉にしながら、暴落によってその利益を吹き飛ばさずに着々と利益を重ねていける銘柄を選ぶことが大切だと考えています。※第2回でも説明している通り、保険の売り手側は大きなリスクを背負っているので、選ぶ銘柄を1度間違えるだけで甚大な損失を被ってしまいます。

そして、もし株価が予想外に下落して、現物株を引き受けた際にも、どう処理していくかという出口戦略もセットで考えられるような銘柄を選ぶことが大切です。

まとめ:ホイール戦略は魅力的な投資方法になるか?

ホイール戦略は、決して一攫千金を狙うような派手な投資法ではありません。

また上記の通り、選ぶ銘柄を間違えると大損をするリスクもあります。

しかし、選ぶ銘柄を間違えなければ、配当よりも高いインカムゲインを狙いながら、「株を安く買い、高く売る」を実行できる可能性があり、魅力的な投資戦略になると私は考えています。

このホイール戦略が実際にどれくらい有効であるか検証するのが、今から本当に楽しみです。

ぜひ、これからも温かい目で見守っていただければ幸いです!

🚨 【次回予告】車輪の回し方をマスターせよ!第1〜5回の総まとめ

ここまで第2回から第5回の計4回に分けて、ホイール戦略の全体像やメリット・デメリットについて解説してきました。

次回の記事では第2回〜第5回の内容をシンプルに凝縮した総まとめをお届けします。要点だけを分かりやすくまとめたので、ぜひチェックしてください!

▼ 次回記事はこちら

【第6回:第2回~第5回の総まとめ】ホイール戦略の概略まとめ
私が過去に作成したホイール戦略記事のまとめ記事となります。本記事を見ていただければホイール戦略の流れやメリット・デメリットが図や表で分かりやすく理解できるようになっています。

ホイール戦略を体系的に学びたい・実践したい方へ

戦略の全体像を知りたい方はこちら

ホイール戦略を効率よく実践するための知識を、STEP順にまとめた「学習ロードマップ」を作成しました。
[>>ホイール戦略・学習ロードマップをチェックする]

ホイール戦略:学習ロードマップ
これからオプションやホイール戦略の勉強をしたい人向けにこれまでの記事で解説した内容を簡単にまとめた記事の一覧になります。初心者はまずこの記事からチェックすることをオススメします。

取引を始めるための準備はこちら

ホイール戦略を始めるには、オプション取引が可能な証券口座が必要です。
私が実際に使用しているウィブル証券のメリット・デメリットをまとめました。口座選びの参考にしてください。
※本記事は広告を含みます。投資には元本割れ等のリスクが伴いますので、最終的な判断はご自身で行ってください。
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【第15回:証券会社のご紹介】Moneybullがホイール戦略と親和性が高い「ウィブル証券(Webull)」を紹介
本記事では私が使っているウィブル証券(Webull)のMoneybullという仕組みが、米国株オプションの「ホイール戦略」と親和性が高いと感じたため、その特徴と注意点について解説します。

【ご注意】
当ブログで紹介しているホイール戦略やオプション取引は、高いリスクを伴う金融取引です。利益を保証するものではなく、元本を割り込む、またはそれ以上の損失が発生する可能性があります。取引の際はリスクを十分にご理解の上、自己責任で行ってください。

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