前回の記事でオプションの基本を説明しましたが、これを利用すると「狙った株を割安で手に入れる」か、もし買えなくても「ただ待っているだけでチャリンとお金が貰える」という、美味しい状態を作れるようになります。
それが、今回ご紹介する「ターゲットバイイング」(以降「ターバイ」と呼びます)という戦略です。
余談:「ターゲットバイイング(ターバイ)」以外にも「キャッシュ・セキュアード・プット」と呼ばれたりもします。
これが、ホイール戦略の一歩目になりますので、今回はこのターバイについて解説します。
ターバイってなに?
ターバイは前回のオプションの基本で説明した「プットオプションの売り」の1種に当たります。
まずは、具体的なシミュレーションでイメージを掴んでみましょう!
ターバイのシミュレーション
いま、私が大注目しているA社の株があるとします。
- 現在の株価:1000円
- 私の希望:「素晴らしい会社だけど、1000円は高い。900円に下がったら絶対に買いたい!」
ここで、A社株のターバイを行い、「1か月後にA社の株が900円以下に下がっていたら、50円で買い取る保険」を50円で売ります。
こうすると、ここから株価がどう動くかで、私の未来は次の2つに分かれます。
シナリオ①:1か月後に株価が900円以下に下がった場合
私は約束通り、A社株を900円で買い取ります。
「損した!」と思うかもしれませんが、そもそも900円なら喜んで買いたかったわけですから不満はありません。しかも、最初に50円の保険料を貰っているので、実質 900 – 50 = 850 円でゲットできたことになります!
シナリオ②:1か月後に株価が901円より上だった場合
この場合は、相手側が株を売る権利を放棄するので、私が株を買うことはありません。
そのため株は手に入りませんが、最初に貰った50円の保険料が利益になります。
普通の「指値注文」と何が違うの?
「900円で指値を入れて待つのと何が違うの?」と思いますよね。
違いを比較表にしてみました。
| 比較ポイント | 普通の指値注文(900円) | ターバイ(900円) |
| 株価が下がらなかった時 | 1円も儲からない(時間の無駄に…) | 株は買えずに保険料が手に入る! |
| 株価が下がって買えた時 | 900円で購入 | 保険料の分、900円よりさらに安く買える! |
| 株価が900円を下回った時があったが満期日は900円より上だった | 900円で購入 | 株は買えずに保険料が手に入る! |
1番目、2番目のパターンは指値注文より明らかにお得ですよね😆
3番目のパターンはどっちがいいのか何とも言い難いですね😅
万能ではないターバイの2つのリスク
これだけ見るとかなりお得な投資法に見えますが、投資に「絶対」はありません。リスクもしっかりお伝えします。
⚠️ リスク①:大暴落のときは「高値掴み」になる
もしA社に致命的なスキャンダルがあり、株価が1000円から一気に500円まで大暴落したとします。 それでも私は「900円で買う権利」を売っているので、900円で引き受けなければなりません。市場では500円で売られている株を900円で買うことになるため、大きな含み損を抱えることになります。
急落したら狼狽売りしたくなるような銘柄をターバイするのは絶対にやめましょう。
一応、「900円で買う権利」自体を買い戻すということもできますが、仮に株価が500円まで下がっている場合は、「900円で買う権利」も暴騰しているため、買い戻すのにもかなりのコストがかかります。
⚠️ リスク②:株価が爆上げしたときに寂しい
ターバイを仕掛けた後、A社株が1000円から2000円へ暴騰したとします。普通に株を買っていれば大儲けでしたが、この戦略だと「株は買えず、最初に貰った100円のお小遣いだけ」で終了します。機会損失の悔しさは残ります。
今すぐに欲しいと思っている銘柄をターバイして、値上がり益を逃して後悔しないようにしましょう。
ターバイに向いている銘柄
逆にターバイに向いている銘柄は「安くなったら買いたいけど、一度手に入れたら長期保有したいなぁ」という銘柄になると思います。
それで、仮に株価が暴落して塩漬けになっても、配当益が十分あったり、値上がりを気長に待てるくらい成長見込みがあるならダメージは少ないはずです。
また、もし買えずに、手の届かないところまで上がったら、それは運が悪かったと諦めましょう。
【次回予告】車輪はここから回り出す…!
今回はターバイの仕組みについて説明しました。
「安く買えても嬉しいし、買えなくてもお金が貰えるなら、これで十分じゃん!」と思ったあなた。
もし、株価が下がって「実質850円で株を手に入れることができた(シナリオ①)」としたら、その後はどうしましょう?
ホイール戦略ではターバイで手に入れた株を使って、今度は「高くなったら売る約束をして、さらに保険料を稼ぐ」という、次の戦略へと移行します。
こちらについては次回の記事で解説します。
【ご注意】
本記事は、情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や投資手法を勧誘・推奨するものではありません。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
