今回は、第2回~第5回で解説してきた記事の要点を「ホイール戦略のまとめ」としてシンプルに凝縮しました。
この記事では結論のみを記載していますので、「なぜそういう仕組みになるのか?」「具体的なシミュレーションが見たい」と気になった方は、ぜひ本記事の最後にある過去記事のリンクから詳細をご確認ください!
🔄 ホイール戦略の流れ
ホイール戦略は、以下の図のようなサイクルで取引を行います。

💡 各ステップのおさらい
- ターバイ(プット売り): 自分が株を買ってもいいと思う指定価格でターバイする。(ここで保険料を貰う)
株価が下がったら: 指定価格で株を買い、「2.カバコ」へ (理想から外れたパターン。出口戦略を検討する必要あり)
株価が下がらなかったら: 再び「1.ターバイ」へ(ホイール戦略的にはこちらが理想)- カバコ(コール売り): 手に入れた株を担保に、自分が株を売ってもいいと思う指定価格でカバコする。(ここで保険料を貰う)※ここでの担保とは、値上がり時に株を引き渡す約束の代わりという意味
株価が上がったら:指定価格で株を売り、「1.ターバイ」へ (理想から外れたパターンでもある。ただし納得した値段で株を売って損益を確定することも大切)
株価が上がらなかったら:再び「2.カバコ」へ(理想のパターンだが、損益を確定したかった場合は株価が上がったパターンの方が良かったということもある)
💰 ホイール戦略1周における損益イメージ
フロー図で登場した各価格帯を、以下の記号に置き換えて計算してみましょう。
- XXXX = ターバイの権利行使価格(株を買う値段)
- YYYY = カバコの権利行使価格(株を売る値段)
- AA = ターバイで受け取る保険料(プレミアム)
- BB = カバコで受け取る保険料(プレミアム)
これらを1周(ターバイからカバコでの売却まで)回し切った場合の損益は以下のようになります。
- 売却損益:
YYYY - XXXX(株の売却損益)※マイナス(損失)の場合もあり - 保険料収益:
AA + BB(待機中にもらえたお小遣い) - トータル利益:
(YYYY - XXXX) + (AA + BB)※マイナス(損失)の場合もあり
※もしターバイやカバコで「株価が指定価格に届かず(Noの分岐)」、何度も同じステップを繰り返した場合は、その回数分だけ保険料(AAやBB)が追加で増えていくことになります。
※上記は一般的に語られるホイール戦略の理想的なパターンになります。現実の取引では株価の急変で上手くいかず、指値で損切したりすることも考える必要があります。また実際はターバイ、カバコを仕掛けるタイミングも重要です。
✨ ホイール戦略のメリット
- 株価が「横ばい」や「多少の下落」でも利益が狙える 株価が上がらなくても、あるいは多少下がってしまった場合(株の売却損益
YYYY - XXXXがゼロやマイナスの場合)でも、獲得した保険料(AA + BB)がそれを上回っていればトータルで利益を出すことが可能です。 - 「安く買い、高く売る」を感情を挟まずに実行できる 事前に「XXXX円で買い、YYYY円で売る」と機械的に決めて取引するため、投資初心者が陥りがちな「狼狽売り」や「高値掴み」を避けやすい手法と言えます。
※ただし、これを機能させるには大前提として「適切な銘柄選び」が必須です。また、現実の相場では株価が長期低迷するケースもあるため、塩漬けにし続けるのではなく、時には適切に指値で損切り(撤退)する柔軟性も必要になります。
⚠️ 注意すべきリスク
- 暴落の直撃を受けると身動きが取りにくくなる ターバイ後から現物株を売却するまでの「暴落が痛い区間」で株価が急落すると、大きな含み損を抱えることになります。
- 損失を取り戻そうと売値(YYYY)を低く設定しすぎると、株価が急反発した際に意図しない安値で売却となり、損失が確定するリスクがあります。
- 逆に、売値(YYYY)を高く設定しすぎると、もらえる保険料(BB)が安くなりすぎて利回りが低下する上、株が売れずに長期間「塩漬け」になる確率が高まります。
※上でも述べている通り、ホイール戦略のリアルな話をすると、長期間の「塩漬け」を避けるために株価が長期で低迷する場合は指値で損切り(YYYY – XXXX がマイナスの状態で取引)することも考える必要が出てきます。
- 値上がり益は必ず「頭打ち」になる どれほど株価が急騰して青天井になったとしても、得られる株の売却益は事前に約束した
YYYY - XXXXで固定されます。そのため大相場での爆発的な利益は享受できません。※ただし自分が納得した値段で株を売却して損益を確定させることも大事です。 - 取引期間中は、まとまった資金、株(担保)が拘束される ターバイ(プット売り)を仕掛けている期間中は、いつでも指定価格で株を買い取れるように、購入資金(米国株の場合は100株分のドル現金)を証券口座に入れておく必要があります。
またカバコ(コール売り)を仕掛けている期間中は、いつでも指定価格で株を売れるように、株(米国株の場合は100株)を証券口座に入れておく必要があり、その株は売却して現金化できません。
そのためターバイ、カバコ期間中は現金不足により、他の投資にお金が回せないという機会損失が発生する可能性があります。
📝 その他の重要な注意点
- オプションの利益は、原則「確定申告」が必要 オプション取引の利益は、一般的に普段の株取引のような「特定口座」の対象にならないため、基本的には自分で確定申告をする必要があります。(一部例外あり)
※証券会社の口座種別や損益通算のルールによっては確定申告が不要な場合や、申告分離課税の対象となる場合もあります。
※実際の税務処理については、必ず管轄の税務署や税理士にご確認ください。
ホイール戦略に向いている銘柄
- 暴落リスクが低く、最悪、暴落して引き受けても困らない(塩漬けになってもいい)と思える優良株。
- もし株価が予想外に下落した場合も狼狽せずに、どう処理していくかという出口戦略もセットで考えられる銘柄。
🚨 【次回予告】ホイール戦略を戦略的に回すための黒幕に迫る
ここまで第2回〜第6回の計5回に分けて、ホイール戦略の全体像やメリット・デメリットについて解説してきました。
「やり方はわかったけれど、オプションの売り時や買い戻しのタイミングってどうやって判断すればいいの?」
そんな疑問に答えるべく、次回からはオプションやホイール戦略を語る上で欠かせない「グリークスとIV」について解説していきます!
「グリークスとIV」を理解すれば、ホイール戦略が確率に基づいた戦略的な投資へと変わります。
いよいよここからがオプションの奥深い世界のスタートですのでお楽しみに!
▼ 次回記事はこちら

参考記事
ホイール戦略を始めるなら、まずはオプションを把握しましょう。専門用語を極力使わず、図解を用いて仕組みを解説しています。
→ [第2回:「オプション取引」とは?]
戦略の核となる「ターバイ」を解説します。「安く株を買う裏技」という一般的な理解を否定し、ホイール戦略における真の役割と、知っておくべきリスクを深掘りしました。
→ [第3回:ホイール戦略におけるターゲットバイイングの考え方とリスクを解説]
出口戦略の1つである「カバコ」を解説します。ターバイで株を引き受けた後、どうやって損益を確定させていくかを解説しています。
→ [第4回:カバードコールの仕組み・リスクと利確の考え方を解説]
「ターバイ」と「カバコ」を組み合わせたホイール戦略の流れについて解説します。
→ [第5回:ホイール戦略の仕組みとリスクを解説]
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【ご注意】
当ブログで紹介しているホイール戦略やオプション取引は、高いリスクを伴う金融取引です。利益を保証するものではなく、元本を割り込む、またはそれ以上の損失が発生する可能性があります。取引の際はリスクを十分にご理解の上、自己責任で行ってください。

